台湾の鉄道・蒸気機関車/茜堂

【台湾本線と阿里山森林鉄路と羅東の鉄道=茜堂】


台湾は近くて、日本型のSLが活躍をしていましたので、
昭和52年11月、昭和53年5月と11月の3度、撮影に出掛けています。

当時は鉄道に従事されている方や、年輩の方々は、流暢な日本語を話され、鉄道施設の撮影等では大変お世話になりました。
台湾のSLでは、日本型のD51、C12、C55、C57や、8620、9600等が、現役で頑張っていました。
阿里山には森林鉄道(阿里山森林鐵路)が有り、珍しいシェイギヤードのSLも健在でした。
風景や、SL達のシルエットが、日本と似ている事から、SLの終焉を迎えた日本での思い出を彷彿と蘇らせてくれ、多くのファンが渡航をしています。
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台湾の鉄道は、主に国鉄(交通部台湾鉄路管理局)が、運行していて、
それ以外には、軽便鉄道が地域の足として、それと現在の地下鉄等の公社路線も、都市交通として活躍をしています。
撮影には、当時としては珍しい、現地の鉄道愛好家のアドバイスを受け、機関区の訪問撮影や、懇親会等、鉄道の話題で盛り上がりました。
皆さんとは、日本語でのコミュ二ケーションでしたので、日本に居る様な、不思議な気持ちに陥ってしまいます。
駅に行っての硬券収集も、日本語で問題有りませんでした。

台湾では、撮影当時には、準戦時下に有った為、鉄道撮影に付いては完全に許可制でしたが、
その後、平成の初め頃には、鉄道撮影の制限が緩和されています。


それでは先ず本線での、蒸機を紹介致します。


茜堂-台湾C55

台湾鉄路管理局、台中線、豊原にて
一見、オロスロ編成のオールグリーンの、豪華臨時列車風です。
先頭のデッキの有る客車2両は、日本製。後ろに連なるデッキの無い客車が、インド製。
パームツリー並木を走る、CT256(CT250形=C55形)。

日本製のカマだけ有って、まるで宮崎辺りを走っている様な、雰囲気さえ感じます。
台湾独特の、カウキャッチャーを外せば、遠目では、国鉄路線を走って居ても、不思議では有りません。


茜堂-台湾C55

台湾鉄路管理局、縦貫線、保安にて、
パームツリー越しに、CT252(CT250形=C55形)。

茜堂-台湾C57

台湾鉄路管理局、台中線、后里にて、
軽やかに走る、CT277(CT270形=C57形)。


茜堂-台湾8620

夕暮れ迫る鉄橋を渡る、逆引きのCT190(CT150形=8620形)、台湾鉄路管理局、内湾線、竹東〜横山。
カマ、客車、橋梁、共に日本製。
チャーターの車中、カーテンの隙間から、つい無断撮影。

当時は台中軍事緊張時、鉄橋の両端にはトーチカが有る時代。トンネルと鉄橋は、絶対に撮影許可が下りません。
今回初のお披露目ですので、お許し下さいませ。

本線では軍用列車が優先で、戦車等を満載し、上下線無関係で疾走。
臨戦中の為、知らずにカメラを向けただけでも、列車から機銃掃射される危険性も孕んでいました。

茜堂-台湾9600

迫力満点のDT591(DT580形=9600形)、台湾鉄路管理局、内湾線、内湾〜富貴。
荷は、然程でも無かったのですが、手を振った途端に、煙りの大サービス。皆さん、優しい人ばかりです。


帰りの松山空港に遅れてしまい、帰国出来なく成り、一日順延。
絶好のチャンスと、台北駅から夜遅い列車に飛び乗り、宜蘭線羅東駅へ向かう。
羅東駅前でタクシーを捉まえ、泊まれる旅館を探してもらい、ついでに撮影用に、翌日のタクシーの貸切を、お願いした。



それでは、羅東森林鉄道、平野部の写真を、紹介致します。

茜堂-羅東森林鉄道2号機

緑の米畑が広がる、羅東森林鉄道、萬富〜三星間にて、
森林鉄道と言っても、全長37キロの大半は平坦線で、長閑な田畑の中を日車のカマが、トコトコ走っています。
写真は12トンの、日車製のCタンク2号機です。

旅客営業は、混合列車となり、廃線迄、蒸気機関車が牽引していました。


茜堂-羅東森林鉄道2号機

前日チャーターして置いた、タクシーで並走撮影。

年輩の運転手さんは、日本語が堪能で、撮影ポイントのアドバイス等、とても気さくな方で、
ご覧の様な悪路を、カマに負けじと追い越して、撮影の繰り返しが続きます。
因みに、このタクシーはかなりのクラシックカーで、床が20センチ程、錆びて穴が開いていて、跳ねる小石や水たまりの汚水が、容赦なく足許を襲います。

羅東森林鉄道は、林務局太平山林場の森林鉄道の内、竹林〜土場駅間の通称です。
昭和52年の夏の台風で、山林部が被害を受け、
その後は、旅客区間のみで旅客営業を存続していましたが、旅客減少と経費の面から、昭和54年8月1日に廃止されました。

空港絡みの、ハプニングをもう一つ、羅東から空港への戻りは鉄道では無く、ショートカットの山越えを試みた。
地図で見ると、空港へはかなり近い。然し、大変な峠道で恐怖の連続。
曲がりくねる峠道、カーブ地点では、バスの後部から下を見ると、下には路面が無く、断崖絶壁の天空をスライスしている。


バスは台北のバスターミナル迄で、ここからタクシーで松山空港へと向かうが、市内は大変な渋滞。
若い運転手さんに、急、速、早等と筆談、何とかその日に無事帰国出来ました。
それでは、羅東の余韻をお楽しみ下さい。


茜堂-羅東森林鉄道2号機

天送埤駅で機回し作業。
逆引きから開放され、前向きで竹林駅へ帰ります。

茜堂-羅東森林鉄道2号機

混合列車は、当駅で折り返します。
以前は、これより先の土場駅迄の立入りは、入山許可が必要でした。

茜堂-羅東森林鉄道乗車券

中華民国67年(昭和53年)6月2日、乗車券、天送埤駅〜羅東駅、8元、羅東森林鉄道天送埤駅発行。


茜堂-羅東森林鉄道ダイヤグラム

天送埤駅掲載のダイヤグラム。

茜堂-羅東森林鉄道2号機

緑の米畑が広がる、羅東森林鉄道、三星〜萬富間にて、
日車製のCタンク2号機。

茜堂-羅東森林鉄道2号機木橋

歪仔歪〜大洲間、木橋(歪仔歪橋)を渡る、天送埤行きの逆牽き、2号機。
歪仔歪とは、歪み曲がったと言う意味。現在は整備された地方道路196号の橋に、歪仔歪橋の名前が引継がれています。
次の画像を見ても解る様に、水面を渡る部分は非常に短く、その殆どが広大な河川敷となっています。

前面には、食料用の美味しいアヒル達が、放し飼いにされています。兎に角、賑やかです。

茜堂-羅東森林鉄道2号機木橋

大洲〜歪仔歪間、木橋(歪仔歪橋)を渡る、天送埤からの2号機。橋を渡ると直ぐ歪仔歪駅。

茜堂-羅東森林鉄道機関区

竹林機関区、左、日車製の2号機。右、9号機。

茜堂-羅東森林鉄道2号機

2号機公式側、蒸機ドームに、日本車輌製造のエンブレムが、付けられています。

先程、仕業から戻って来たばかりの、庫内の日車の2号機を、タクシーから降りて、見ていたら、
職員の方が近付いて来て、庫から出して上げましょうか、と、
有り難いお言葉に感謝し、2号機の撮影会。



それでは、森林鉄道繋がりで、阿里山森林鉄路、嘉義線(阿里山線)の写真を、紹介致します。

茜堂-阿里山森林鉄路中興号

立派なHMが掲げられている、中興號(DPC8)、阿里山森林鉄路、嘉義線(阿里山線)、嘉義駅。
左側には、台湾鉄路管理局縦貫線、嘉義駅が接続しています。

茜堂-阿里山森林鉄路中興号

中興號(DPC8)、気動車、阿里山森林鉄路、嘉義線(阿里山線)、嘉義駅。
開往阿里山の差込琺瑯サボ、社紋、気動車の形式が、
縦に、綺麗に整列しています。

茜堂-阿里山森林鉄路中興号と神木

中興號、阿里山森林鉄路、嘉義線(神木線)、神木駅。
神木駅には、プラットホームが無いので、職員がドアの前にタラップを置いて、乗降客をエスコートしています。


茜堂-阿里山森林鉄路シェイ12号機

阿里山駅のシェイギヤード、12号機18トン。

茜堂-阿里山森林鉄路シェイ12号機

阿里山駅のシェイギヤード、12号機18トン、左にホームの先端が映っています。




阿里山のSLは、直立したシリンダーとベベルギヤーを持つ、ボギー台車の山岳用の特殊な機関車です

明治から大正初期に、米国のリマ(ライマ)社製、18トン7両と、28トン10両のシェイが、輸入され、阿里山で活躍します。
因に、リマ社はオハイオ州リマに工場が有った事から、社名になりましたが、
昨今、日本ではLIMAをライマと呼ぶ方々も、居られます。
イタリアに有る鉄道模型会社LIMAは、リマ製模型でリマが健在です。些か脱線しましたので、元に戻しましょう

上の写真では、間接駆動方式の片側縦置きシリンダーと、傘型ギヤーが見て取れます。
18トンは2シリンダーで、28トンは3シリンダーとなっています。



18トンの機関車は、嘉義〜竹崎間の平坦線と、阿里山から先の林場線で、
一方、パワーが大きい28トンの機関車は、連続勾配のきつい、
竹崎〜阿里山間で、それぞれ活躍をしていました。

茜堂-阿里山駅入場券

中華民国66年(昭和52年)11月22日、入場券、阿里山駅、1元5角、阿里山森林鉄道阿里山駅発行。


茜堂-阿里山森林鉄路シェイ12号機

夕暮れ時の阿里山機関区(阿里山機務段)、給水中のシェイギヤード、12号機18トン。
廃車後は、阿里山駅にて、静態保存されています。

茜堂-阿里山森林鉄路シェイ12号機

阿里山駅のシェイギヤード、12号機18トン。


茜堂-阿里山森林鉄路シェイ18号機

阿里山機関庫の中で眠る、18号機18トン。


茜堂-阿里山森林鉄路シェイ12号機

阿里山機関庫から顔を出す、12号機18トン。
正面から見ると、片側に設置されたシリンダーの為、ボイラーが中央より外側に有るのが、良く分かります。



茜堂-阿里山森林鉄路シェイ12号機

阿里山森林鉄路、眠月線(旧、塔山線)、阿里山駅手前、阿里山駅へ向かう。
フラットカーに、木材満載の12号機18トン。


茜堂-阿里山森林鉄路シェイ12号機

阿里山森林鉄路、眠月線(旧、塔山線)、阿里山駅手前の12号機18トン。


茜堂-阿里山森林鉄路シェイ26号機

奮起湖機関区(奮起湖機務段)、26号機28トン。

茜堂-阿里山森林鉄路シェイ26号機

奮起湖機関区(奮起湖機務段)、26号機28トン。
3シリンダーの迫力の有る機関車シェイ、廃車後は、苗栗鉄道文物展示館にて、静態保存されています



それでは、阿里山森林鉄路を後にして、台湾鉄路管理局の機関区を巡ります。

茜堂-台湾9600

台湾鉄路管理局、嘉義機関区(嘉義機務段)にて、
DT604(DT560形=9600形)。

台湾の9600は、何故だか、日本形より格好良く感じられます。

茜堂-台湾400形

台湾鉄路管理局、嘉義機関区(嘉義機務段)にて、
タンク機関車CK102(CK100形=400形)。


茜堂-台湾C55

台湾鉄路管理局、嘉義機関区(嘉義機務段)にて、
CT259(CT250形=C55形)、左側はDT665(DT650形=D51形)、
右端のテンダーは、DT607(DT580形=9600形)。



茜堂-台湾8620とC12

台湾鉄路管理局、嘉義機関区(嘉義機務段)二水駐留所(二水機務分駐所)にて、
石炭積載場に入れる前の石炭が集積、左手前は、CT189(CT150形=8620形)、右奥は、CK125(CK120形=C12)。


茜堂-台湾8620とC12

台湾鉄路管理局、嘉義機関区(嘉義機務段)二水駐留所(二水機務分駐所)にて、

左奥には、二水駐留庫が、チラッと顔を覗かせています。
石炭積載場横には、CT189(CT150形=8620形)、右手前は、CK125(CK120形=C12)。

台湾のC12には、全てデフが付いています。



それでは、機関区を離れて、本線の写真を紹介致します。

茜堂-台湾C55後部補機

台湾鉄路管理局、縦貫線、嘉義駅にて、
ディーゼル機関車R100形牽引、白地に青線時代のPC急行莒光號、40PBK32800型の電源荷物車に、
CT256(CT250形=C55形)の、後部補機が付きます。


茜堂-台湾EC

台湾鉄路管理局、台中線、台中駅にて、
DC特急、第4光華號、台北行き、正面もステンレス無地の最速車両、DR2700形。


茜堂-台湾C57

台湾鉄路管理局、縦貫線、後壁にて、CT280(CT270形=C57形)

茜堂-台湾SP32450系

台湾の、洪 健文 様から、貴重な情報を頂戴致しました。
画像の車両は、大小2種類のベンチレーターが特徴的な、集中給電式の車両SP32450系で、
30年程前に、空調付き優等列車に改造されたので、型式末梢されています。

当列車は、莒光号や復興号編成の、実車流用らしく、縦貫線の普通や平快も、まだ健在の時代でしたので、
ついでに、
莒光号や復興号の車両を、実車回送する事も、良く有ったとの事です。

平成28年10月9日、追記。

茜堂-台湾C57

前3両が、大小2種類のベンチレーターが特徴的な、集中給電式の車両SP32450系。
1968年(昭和43年)に、台鉄台北工場で製造されました。

4両目は、電源供給車両では無く
、17m級車体のSBK32300(またはTBK32300)形の荷客車両が、連なっています。
電源荷物車が、繋がれていない為、SP32450系には給電されておらず、
日中の筋での、実車回送で使用されています。

一般的には車軸発電ですが、当系列は主に、20m級電源車CBK32450形からの、集中給電式となっていて、
この特殊な給電方式の為、僅か10年足らずで、姿を消す事になりました。

茜堂-台湾C57

台湾鉄路管理局、縦貫線、後壁にて、CT273(CT270形=C57形)。
台湾の沿線では、パームツリーが似合います

写真では、高さが有りませんが、高木等も沿線に有って、南国の雰囲気満点です。


台湾鉄路管理局、縦貫線、保安でのサイドビュー5部作をご覧下さい。
SLの運行本数が多いので、撮影は些か怠慢、疲れ気味。

茜堂-台湾C55

草原を走る、CT256(CT250形=C55形)。

茜堂-台湾C57

同じく、草原を走る、CT275(CT270形=C57形)。

茜堂-台湾C55

平坦線で客車牽引は、煙り無し
水面に映る、CT252(CT250形=C55形)。

茜堂-台湾C57

ここでも、食用のアヒル達が、賑やかです。
CT271(CT270形=C57形)。

茜堂-台湾C57

収穫の後の、天日干しの稲が、どことなく日本海側の東北風で、懐かしい
貨物列車、CT275(CT270形=C57形)。


茜堂-台湾大型DL

台湾鉄路管理局、台中線、豊原にて、
パームツリー並木を走る、米国GM製の大型
ディーゼル機関車、R133。

茜堂-台湾DL

パームツリー並木を走る、ディーゼル機関車、S202。
こちらも、
米国GM(ゼネラルモーター)製です。
現在では、入替え専用機ですが、且つては、支線等で活躍をしていました。


茜堂-台湾8620

軽やかな足取りの、CT190(CT150形=8620形)、縦貫線、二水にて

茜堂-台湾C57

台湾鉄路管理局、台中線、豊原にて、
踏切を行く、CT277(CT270形=C57形)。



茜堂-台湾C55

台湾鉄路管理局、縦貫線、高雄駅。
客車牽引、CT258(CT250形=C55形)、左側には、荷物列車が停車。
高雄駅は縦貫線の終着駅、高雄市は、台湾南部に位置する、台湾第二の都市。

隣の荷物車では、職員が忙しそうに働いています。


茜堂-台湾EL

台湾鉄路管理局、縦貫線を行く、アメリカGE社製の電気機関車、E310(E300形)。


かなりの画像を、採用しましたが、良く見るとD51形の全貌が、1枚も計上されていない事に気が付き、
分かり易いD51形を、最後部に掲載して置きます。

茜堂-台湾D51

台湾鉄路管理局、縦貫線、二水にて、
貨物牽引の機関車交換待ちの、ゾロ目番号、DT666(DT650形=D51形)。


茜堂-台中駅1番ホーム

台中駅、1番線プラットホーム。
台中駅は、
台湾鉄路管理局、台中線(山線)に有る、台中市の中心駅
単式、島式の2面3線から成る、地上駅で、1番線は単式、2番3番線が島式ホームとなっています。

駅舎は英国風で、赤煉瓦を使用した、クラシックなデザイン。

茜堂-台中駅舎

ホームから見た、台中駅駅舎。




夜に成ると、地元の方々との、酒宴が始まる。
阿里山のホテルの主人と飲んだ時に、教えて頂いた紹興酒の飲み方、
温めた紹興酒を、お湯呑みにゆっくり注ぎ、氷砂糖を落とし込み、生姜の繊切りを浮かべる。

寒い高地での、嗜み方、実に美味しい。


茜堂-阿里山

阿里山駅近くから望む。
夕日を浴び、藍色から茜色に染まる。山裾には雲海が、茜堂渾身のワンショット。
美しい山々が、幾重にも連なる深山、夕暮れ時とも成ると夏でも肌寒い。山中の夕暮れは存外、暗転が早い。




撮影地の名称は、必ずしも駅名を表すものでは有りません。
掲載写真は、茜堂による原盤ネガ及び原盤ポジからの画像の為、無断複写は禁じております。

上記解説に於いて、誤記や解釈の違いにより被られた不利益につきましては、茜堂では一切関知しないと共に、責務を負えない事をご了承願います。
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