インドの鉄道・蒸気機関車/茜堂

【インド本線とダージリンヒマラヤ鉄道=茜堂】


日本とインドの関係はとても古く、仏法の源として、インドが天竺と呼ばれていた頃からで、
古の日本人僧も天竺を目指す等、仏教との深い関わりが有りました。

筆者が初めてインドを訪れたのは、昭和52年の真夏の事。
この時は、インドでは非常に珍しい、ダージリンでの乗務員ストに遭遇し、
ヒマラヤのツーフーターは、全機庫の中。仕方が無いので無人のチンダリヤ機関区にて撮影を敢行。
期待に胸を膨らませ、多量のフィルムを持ち訪れたダージリンでしたが、山の写真と、半ばヤケ気味の暴飲暴食三昧で初日を迎えました。
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昭和53年の暮れから正月に掛けて、再度チャレンジ。
幸先悪く、成田発の飛行機トラブルの為、航空会社手配のホテルで足止め、除夜の鐘を聞き乍ら東京泊り。
翌日の機内では、横尾忠則さんと瀬戸内晴美(瀬戸内寂照)さんが、取材旅行で乗っておられ、両氏から機内メニューにサインを頂く。
帰りは某国の政変で途中足止め。時間制限の為、那覇空港止りで沖縄一泊。
行きと帰りのハプニングで、帰宅が二日も遅れる。

再度のダージリンでは、二台のモードラが青空の下、唸りを上げ、心地よくシュートを満喫。
この夜は上機嫌で乾杯。ホテルでのアルコールが、とても美味しく感じられた事は、言う迄も有りません。


まずは初回の本線での、WPとWGを紹介致します。


茜堂-WP型SLタジ特急(ラジャキマンディ駅)


タジエクスプレスを牽引する、花形急客機の砲弾型蒸気機関車、WP型。
ヘッドマークの80番は、タジ特急の証しです。

デリーから、有名なタジマハールの有るアグラ迄を結ぶ、観光客向けの優等列車です。
ラジャキマンディ駅にて、停車中のタジエクスプレス。


茜堂-WP型SLタジ特急(アグラケント駅)


アグラケント駅にて、後一駅残し、途中停車中のタジエクスプレス。
通用路に少しお邪魔して、禁断の正面写真。
タジマハールは、実はアグラ駅で下車するより、一つ手前のこの、アグラケント駅の方が距離的にも便利です。



茜堂-タジマハール


ダージリンを諦め早々に撤収したので、普段は滅多に堪能出来ない観光に没頭。デリーでは、世界遺産のレッドフォート(デリー城)や、
アグラでは、世界遺産のアグラ城に、大理石の造りがとても美しい、世界遺産のタジマハール。
鉄を少しばかり離れて、世界遺産の観光三昧です。

夕暮れ迄、贅沢にもタジマハールでお昼寝を、大理石が肌に心地良い。
翌日は、本線撮影や、デリーにアグラの機関区巡り。


茜堂-WG型SL(シリグリ付近)


一度目のバグドグラ空港より、シリグリジャンクション迄の移動中に遭遇した、WG型。
実はこの線での、撮影は全く予定していなかったが、遠くに煙を発見。急遽、車を路肩に止め、カメラ一台を小脇に抱え、
見通しの利く橋の上迄登り、モードラでシュート。

二度目のバグドグラ空港では、ドイツの鉄っチャン連と遭遇。急行ニセコの写真を持っておられ、
一時の鉄道談義に、花が咲きました。

空港でのハプニングをもう一つ、初回のダージリンからの帰路、バグドグラ空港に来るべき飛行機が飛来せず、
夜間にチャーターバスで、デリー迄の強行長距離移動。可成りハードな行程でした。


それでは、茜堂二度目のダージリンを、ご覧下さい。


ダージリンヒマラヤ鉄道は、2フィート軌間の山岳鉄道で、紅茶で有名なダージリン迄の標高差2260mを登ります。
機関車はトイトレンとも呼ばれ、英国のシャープスチュワート社製の可愛らしい、サドルタンク機です。
ニュージャルパイグリ(起点0Km)〜ダージリン(88Km)迄を結びます。


茜堂-SL(スクナ駅)


スクナ駅(17Km)、全インド動力車乗務員協会の幕を掲げた、特別列車。
多くのギャラリーが見守る中、水を補給。


茜堂-SL(スクナ〜ラントン)


スクナ駅(17Km)〜ラントン駅(25Km)の間、平坦地を行く列車。
乗務員の数の多さには、驚かされます。


茜堂-SL(第1ループ)

スクナ駅(17Km)〜ラントン駅(25Km)の間、第1ループ23.5Km地点。


茜堂-SL(スクナ〜ラントン)

スクナ駅(17Km)〜ラントン駅(25Km)の間。



茜堂-SL(ラントン駅離合)


ラントン駅(25Km)での離合。
前向きの機関車は山を登る列車、後ろ向きの機関車は山を下る列車になります。


茜堂-SL(ラントン〜チュンバティ給水)


ラントン駅(25Km)〜チュンバティ駅(31Km)の間、
給水の為、26Km地点の滝で停車後、黒煙を上げてゆっくりと前進する。


茜堂-SL(ラントン〜チュンバティ)

ラントン駅(25Km)〜チュンバティ駅(31Km)の間。



茜堂-SL(第2ループ)

ラントン駅(25Km)〜チュンバティ駅(31Km)の間、第2ループ30.5Km地点の下を潜る。


茜堂-SL(第2ジグザグ)


チュンバティ駅(31Km)〜チンダリヤ駅(37Km)の間を行く、資材運搬の珍しい貨物列車。
第2ジグザグ(スイッチバック)34Km地点。
手前には、旗を持ったポイント係が立っています。


茜堂-SL(チンダリヤ機関区)


初回に訪れたスト時の庫。チュンバティ駅(31Km)〜チンダリヤ駅(37Km)の間、
チンダリヤ駅近くに有る、エンジンハウスにて。


茜堂-SL(チンダリヤ〜ガヤバリ俯瞰)

チンダリヤ駅(37Km)〜ガヤバリ駅(43Km)の間、第3ループ39Km地点手前。


茜堂-SL(チンダリヤ〜ガヤバリ)


チンダリヤ駅(37Km)〜ガヤバリ駅(43Km)の間、第3ループ39Km地点の橋を渡る。
この小さな機関車に、実に5名もの乗務員が搭乗し、阿吽の呼吸に因って、カマを動かしています

運転士(ドライバー)の他に、機関士(ファイヤーマン)は、ファーストとセカンドの2名が乗務し、
セカンドボイラーマンは、機関車の一番頂上のコールバンカー上に乗り込み、石炭を小さく粉砕し、キャブに降ろします。
それを受け取った、ファーストボイラーマンが、炭投します。
ファイヤーマンは、ボイラーマンとも呼ばれています。

また、フロントビームには、左右それぞれに、線路用の砂まき手(サンドマン)が、張り付いています。
サンドマンは、線路上の障害物も見張るので、ウォチャーマンとも呼ばれています。


そして、驚く事に客車の屋根の上にも、別の乗務員が配置されています。
客車が離れたり、脱線したり等のアクシデントを、4両の客車の屋根に張られた紐を引っ張り、機関車側に知らせる役目を担っています。



茜堂-SL(第3ジグザグ通過)


チンダリヤ駅(37Km)〜ガヤバリ駅(43Km)の間、第3ジグザグ(スイッチバック)42.5Km地点。
バックで勾配を登って行き、前進をすると直ぐガヤバリ駅に到着します。


茜堂-SL(カヤバリ〜マハナディ)

ガヤバリ駅(43Km)〜マハナディ駅(49Km)の間、展望台より望む



茜堂-SL(第4ジグザグ通過)


ガヤバリ駅(43Km)〜マハナディ駅(49Km)の間、第4ジグザグ(スイッチバック)43.5Km地点を後進中。
次のカットに続きます。




茜堂-SL(第4ジグザグ通過)

ガヤバリ駅(43Km)〜マハナディ駅(49Km)の間、第4ジグザグ(スイッチバック)43.5Km地点。



茜堂-SL(カヤバリ〜マハナディ給水)


ガヤバリ駅(43Km)〜マハナディ駅(49Km)の間。
給水の為、45.5Km地点のパゴラジョラの滝で停車中。乗客が車外でくつろいでいます。


茜堂-SL(カヤバリ〜マハナディ)


ガヤバリ駅(43Km)〜マハナディ駅(49Km)の間。
走行中の列車に飛び乗る乗客達。飛び乗る客は結構いますが、その逆は余り見掛けません。


茜堂-SL(カヤバリ〜マハナディ俯瞰)


ガヤバリ駅(43Km)〜マハナディ駅(49Km)の間。
この先の
グームティーベントで180度Uターし、マハナディ駅へと滑り込みます。


茜堂-SL(マハナディ)

静かで質素な、マハナディの町。



茜堂-SL(マハナディ〜カルシャン)


マハナディ駅(49Km)〜カルシャン駅(56Km)の間。
喘ぎ乍ら登る速度の遅い列車は、次から次へと、車に追い抜かれて行きます。



茜堂-SL(カルシャン駅へ)

本線から分岐し、カルシャン駅(56Km)構内へ進行。



茜堂-SL(カルシャン駅)

カルシャン駅(56Km)の喧噪。



茜堂-SL(カルシャン駅転車台)


カルシャン駅(56Km)は、本線から分岐した駅で、頭から侵入した列車は、駅を出る時にはそのまま後進し、
本線上に出ると、一旦停車。そのままの編成で再び前進します。
手前に小さなターンテーブルが有り、
小さなギャラリー達が、カメラを見ています。




茜堂-SL(カルシャン)


カルシャン(標高1480m)の町並み、この町には鉄道学校やホテル、教会等が有ります。
開業当時の終点駅でも有り、小さなヤードや機関庫を有し、本線での途中駅では最大の規模を誇っています

機関車のフロント周辺に、草木の飾り付けが施された、特別列車。


カルシャン駅(56Km)〜トゥーン駅(64Km)〜ソナダ駅(72Km)〜グム駅(81Km)の間は、
単調なS字カーブの連続となっています。


茜堂-SL(トゥーン〜ソナダ)

トゥーン駅(64Km)〜石炭の集積所が有る、ソナダ駅(72Km)の間


茜堂-SL(ソナダ〜グム)


ソナダ駅(72Km)〜グム駅(81Km)の間
グム駅(標高2257m)は、峠の頂上に位置し、本線のサミットとなっています。
グム駅からダージリン駅までは、下り勾配となっています。


茜堂-朝焼けバタシヤループSL

グム駅(81Km)〜ダージリン(87Km)の間。枕木に霜が、早朝のバタシヤループ。



茜堂-バタシヤループSL


バタシヤループ(82.5Km)を、ゆっくりと走る列車。
雲海の中から、白雪を被ったカンチェンジュンガの山々が、頭を出しています。
茜堂お薦めの、撮影スポット。

ここを過ぎると、いよいよ終点のダージリン駅に到着します。
コールバンカーには、人のシルエットが一つ、フロントビームのサンドマンの姿は、もう有りません。



茜堂-バタシヤループSL逆牽き


冬でも、雪が積もる事は、滅多に有りませんが、霜が積雪の様に、白く演出してくれています。

機関車が後ろ向きに付いている場合は、ダージリンから、下山する列車になります。
次のグム駅までは、上り勾配となっています。
案内文は、山下から山上に移動していますので、画像の機関車は、主に前向きの物を掲載しています。


茜堂-ダージリンのバザール


ダージリンの町並みと、賑やかなバザール。
この地名の由来は、スペイン語の「カミナリの町」から来ています。

ダージリンは、西ベンガル州ダージリン地区の中心都市で、人口は約11万人、標高2134m。
紅茶のダージリンティーの栽培で、国際的に有名な所です。
ダージリンヒマラヤ鉄道は、1999年にユネスコの世界遺産に、登録されました。



初回のインド行にて、暇を持て余し、立ち寄った博物館と機関区等を、紹介致します


茜堂-SLガーラット式N38815


デリー国立鉄道博物館にて、
博物館の横に本線が走っていて、WPやWGが10分位の間隔で通過するので、結構楽しめました。
ブロードゲージの大型機ガーラット式N38815(4-8-0+0-8-4)と、広大な敷地内を周回する、ナローゲージの小さな機関車。

大小二台のサイズの違いが、良く分かります。


茜堂-モノレールSL


デリー国立鉄道博物館にて、
モノレールの奇妙なSL、後部には補助輪の様なタイヤが付属しています。


茜堂-WL型SL

デリー機関区にて、軽量機関車WL型。


茜堂-内側シリンダーSL

デリー機関区にて、内側シリンダーの風変わりな機関車。


茜堂-WP型SL

アグラ機関区にて、精悍な面構えの急客機関車WP型。



カンチェンジュンガ標高8586mは、ネパールとインドの国境に有る、シッキムヒマラヤの中心となる山群の主峰。
チベット語で、五つの宝庫の偉大な雪山(五大宝蔵)を、意味しています。
エベレスト、K2に次ぐ世界第3位を誇り、西峰(ヤルカン)8505m、中央峰8478m、南峰8476mが並ぶ。




茜堂-カンチェンジュンガ


バタシアループから望む。
朝日を浴びて、藍色から茜色に染まる、茜堂渾身のワンショット。
神々しいばかりの、連なる壮大な山々が、澄み切った空気と共に凛として心を震わせる。




撮影地の名称は、必ずしも駅名を表すものでは有りません。
掲載写真は、茜堂による原盤ネガ及び原盤ポジからの画像の為、無断複写は禁じております。

上記解説に於いて、誤記や解釈の違いにより被られた不利益につきましては、茜堂では一切関知しないと共に責務を負えない事をご了承願います。
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